【売上未達】HENNGE(ヘンゲ)の決算分析!成長余力はあるのか?

決算分析
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どうもこんにちは、平凡サラリーマン投資家のヒラです。

あなたは、HENNGE(ヘンゲ)という銘柄はご存知ですか?

SaaS認証基盤を提供している会社です。つまり、クラウド型セキュリティ事業と言え、日本におけるIDaaSの先駆けです。今、社会的な流れとも言えるDX化ですが、そのDX関連株の代表的な銘柄の一つです。

そんなHENNGEですが、11/12の取引時間後に決算発表がありました。決算短信を見ると、2022年度業績予想に対して、売上高は未達でフィニッシュでした。売上高が期待しているように伸びていないようです。

「今後さらに成長できるのか?本当に成長率を上昇させることはできるのか?」気になるところです。

ということで今回は、売上高が業績予想に対して未達でおえたHENNGE(ヘンゲ)の決算を分析し、成長余力はまだあるのかを確認していきます。

この記事は、下記のような人におすすめです。

  • HENNGE(ヘンゲ)の決算内容を知りたい
  • HENNGE(ヘンゲ)の成長性を知りたい
  • サラリーマン投資家で時間がないから、要点だけ知りたい

前回の決算については、以前ブログにて紹介しました。こちらの記事を読むと、業績の推移が分かりやすく、今回の記事が理解しやすくなります。

では、早速行ってみましょう!

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HENNGE(ヘンゲ)の株価の値動き

直近1年間

まずは、最近の株価の値動きを確認しておきましょう。

下のチャートをご覧ください。こちらは直近1年間のHENNGE(ヘンゲ)の日足チャートです。

9月まで上がり続けていた株価ですが、11月中旬に一度大きく下がりました。そして、そのまま株価は下がり続け、高値から1/6程度の水準になってしまいました。その後、少し戻しましたものの、低迷したままです。

どういった流れでここまで下がったのか説明します。

2021年11月〜2022年3月

11月中旬から3月中旬まで、ほぼノンストップで株価がずっと下がり続けていたことがわかります。これは前々回の決算グロース株の相場悪化したためです。このグロース株相場の悪化の主な理由は下記のとおりです。

<相場悪化の原因>
・日本での金融所得課税増税が話題に
 ー 株式投資離れ、今のうちに手仕舞いする投資家の増加
・米国でのインフレ加速、テーパリング早期化
 ー 利上げ早期化
 ー 米国長期金利上昇
 → 株式のリターンに対して相対的評価低下
ウクライナの地政学的リスク
 ー ロシアからヨーロッパへの原油・天然ガスの経由地であるウクライナで、戦争勃発
 ー ロシアからのエネルギー供給減予測
 → 世界エネルギー価格高騰
 → コロナ感染拡大と併せて、世界経済にダブルパンチ

上記の理由で、軒並み株安になってしまっています。もちろんグロース株であるHENNGEも、もれなく株価は下がってしまったのです。

世界的な株安になり、下げに下げましたが、ようやくさすがに下がりすぎたか、買いが出始め、3月に株価は底打ちしました。

2022年4月〜2022年8月上旬

その後、割安感から買われ株価を少し戻しましたが、やはりすんなりと株価は上がっていきません。また相場が悪化してしまったのです。この理由は、下記の通りです。

<相場悪化の原因>
・インフレ率の上昇
 ー インフレを抑えるために米国で大幅利上げ
 ー 世界各国でもインフレ抑制のために利上げ
景気後退懸念も浮上
 ー 世界的なエネルギー・食料価格の上昇
 → 一般消費が縮小してきている

しかし、それでも少しずつインフレ率や景気後退懸念も緩和されてきて、グロース株に資金が戻り始めてきました。そんな中でのHENNGEの決算発表でした。

決算を見ると、前年比で利益が倍増しています。「これは株価上昇するかも」と期待してしまいますが、落ち着いて分析して、株価に与える影響を見てみます。

2022年8月中旬〜2022年11月上旬

8月中旬の決算発表を機に、株価は急騰しましたが、その後また下げてしまい低迷しました。この理由は下記の通りです。

<株式相場の悪化>
・引き続きインフレ率落ちつかず、それを抑えるための利上げ継続
・利上げによる景気後退懸念
 ーCPIや雇用統計などの経済指標に一喜一憂する相場

しかし、11月上旬にとうとう株価は急騰。下記のような理由で買いが集まりました。

<インフレのピークアウト>
・CPIでインフレ率が予想外に低下
 →インフレのピークアウトに期待
 →利上げ幅が縮小する見込み

上記のような流れから相場も良くなり、さらなる株価上昇のために期待した今回の決算発表でした。しかし、業績予想に対して売上高は未達という結果に。グロース株として期待している銘柄なので、売上高の伸びには敏感になります。これは成長性、大丈夫なのでしょうか?

では、今回の決算内容を確認しましょう。

HENNGE(ヘンゲ)の決算内容

決算のみどころ

当ブログでは、今後成長が期待できる銘柄の一つとしてもHENNGE(ヘンゲ)をみています。したがって、一番重要視したいのが「成長性」に関してです。そのため、下記の項目に着目します。

  • 業績(売上や利益)
  • 投資(事業拡大)
  • ニュース(事業拡大、新規事業について)

もちろん、他のバランスシートやキャッシュ・フローも大切です。そこにも目を通しますが、この記事では時間がないサラリーマン投資家のために、重視するところを取り上げていきます。

業績推移

今回は、2022年9月期の通期決算が発表されました。

短信では、売上や利益が累計で出されています。当ブログでは、四半期ごとの売上や利益を算出し、前年と比較しています。下の表をご覧ください。

四半期ごとに下記の項目を算出しています。

  • 売上、営業利益、経常利益、純利益
  • 各対前年比(%)
  • 各累計計画対比進捗率(%)

上の表をもとに、ポイントを絞って解説していきます。

進捗率

まず、注目すべきは進捗率です。

2022年度の通期業績予想に対して、売上高/営業利益/経常利益/純利益の順に、98/106/104/118%と、売上高が未達に終わりました。事業別内訳で見ると、HENNGE One事業が業績予想に対して未達だったようです。高い予想に対して、ただクリアできなかったように感じます。

2023年度業績予想

次に注目していただきたいのが、2023年度業績予想です。

2022年度実績に対し、売上高/営業利益/経常利益/純利益の順に、+19/+21/+24/+10%です。「これは堅調」と感じる方もいるかもしれませんが、当ブログとしては少し物足りません

というのも、HENNGEの成長戦略としては「HENNGE OneサービスのARR成長率:+20%中盤台」を掲げています。それに対して、売上高の業績予想が20%未満というのは物足りません。

四半期ごとの売上高

つづいて注目していただきたいのが、四半期ごとの売上高です。

今四半期は、過去最高の四半期売上高でした。メインサービスのHENNGE Oneは全体の約90%を占め、その中でストック比率は97%程度もあります。そのため、投資家からは、着実に毎四半期売上高を積み上げていくことに期待されています。この数字を見て、安心した部分もあります。

しかし、前年同期比では少し増加率が低下しているのも心配になります。

メインサービス

メインサービスであるHENNGE Oneの四半期ごとの売上も見ていきましょう。

下の表には下記の項目を載せています。

  • HENNGE Oneの四半期売上
  • 対前年比(%)
  • 売上比率(%)
  • HENNGE ONEのKPI(ARR/契約数/解約率)

メインサービスであるHENNGE ONEサービスの売上は増加し過去最高の四半期売上高です。ただ、前年比で+18%と、前期に比べて少し前年対比の水準は下がってしまいましたね。

KPIであるARR/契約企業数/契約ユーザー数は、最高値です。これについても好感が持てますが、こちらも前年に比べて増加数が落ち着いてきた印象がありますね。

解約率が0.21%です。まだ1%未満なので、とても低い水準ではありますが、少しずつ上がってきているように見えますね。

また、表にはありませんが、決算資料を読んでみると、HENNGE Oneの2023年度売上高予想は、6,234百万円(+20.1%)を掲げています。上述した全体の売上高は+20%未満でしたが、事業単体で見ると、+20%を超える予想です。これは少し安心しました。(欲を言えば、早く+20%中盤台になってほしいですが。)

成長基盤を計るために、もう少し詳しくKPIについても確認しておきましょう。

KPI

重要指標

KPIは、メインサービスであるHENNGE ONEの下記の項目に着目します。

  • 解約率
  • ARR(年間経常収益)

ARR = N(契約社数) × n(平均ユーザー) × ARPU(ユーザーあたり単価)

<HENNGEの成長戦略>
・短期的には契約社数の増加
・中長期ではARPU(ユーザー当たりの年間経常収益)の上昇に注力
 →2021年9月期に変曲点を作り、2022年9月期以降でARPU成長率上昇を目指す

上記達成のためには、ユーザー数が多いこと、解約率が低いことが必要になってきます。
上述した「サービス別」で挙げたユーザー数と解約率について確認しましょう。

ユーザー数と解約率


下図をご覧ください。こちらは今回の決算説明資料にありました「平均月次解約率の推移」「契約企業数と契約ユーザー数の推移」です。

解約率が、また段々と下がってきています。上述しましたように、まだ1%未満で、0.21%という数値自体は、非常に低いです。ストック型の収益モデルなので、解約率が低い=契約が続くことが収益の拡大につながるので、この数値は非常に重要です。2四半期連続で解約率が低下しているので、安心しますね。

契約企業数/契約ユーザー数は堅調に増加しています。ただ、短期的な成長戦略としては、新規獲得が課題です。方針である「ARR成長率:+20%以上」を果たすための鍵になります。

ARR

では、一番重要指標であるARRについて確認しておきましょう。下図をご覧ください。こちらは決算説明資料にありました「ARRとARPUの推移」です。

見ての通り、ARRは過去最高額です。着実に、ARRを伸ばしています。中期的に注力するARPUも堅調に上がっています。

しかし、2022年度のARR成長率は+18.2%で、+20%を下回ってしまいそました。これには嫌気しますね。

では、さいごにまだ成長余力はあるのかを説明します。

HENNGEはまだ成長余力があるのか?

それを考えるにあたって、成長のために重要なのがメインサービスであるHENNGE OneのARRの成長率ですよね。そのARR成長のために重要なのが、下記の項目です。

  • 契約企業数(N)の増加
  • ARPUの上昇

HENNGEとしても、このための施策を打ち出しているようなのですが、なかなか期待していたような結果になってないように感じます。これは企業がHENNGE Oneの導入までに時間がかかるからかもしれません。

下図をご覧ください。こちらは決算説明資料にありました「HENNGE Oneのマーケティング活動のイメージ図」です。

上述しましたように、企業がHENNGE Oneの導入までに時間がかかるようです。なので、楽観的に考えれば、まだマーケティング施策の効果が見えてきてないだけかもしれません。という意味では、成長余力はありそうに感じます。

また、2023年度には「HENNGE Oneの新機能をリリースしていくだけでなく、HENNGE Oneユーザ企業様のニーズにあった新サービスも提供していく予定」のようです。うまくいけば、HENNGE Oneと新サービスのクロスセルで、HENNGE全体の売上高は成長することが見込まれます。これも加味すれば、サービス単体だけでなく、HENNGE全体としての成長余力もありそうに感じます。

ともあれ、当面は「2025年にHENNGE OneのARR:100億円」を目標としている中で、「ARR年間成長率:+20%中盤台」に持っていくことが最重要です。上述しましたマーケティング施策の成果がまだ出てきていないだけかもしれませんが、現状ではその水準になるように感じないのが事実です。

契約企業数とARPUの増加/上昇幅の拡大に期待したいです。そのときに、ようやく「2025年にHENNGE OneのARR:100億円」の実現も見えてきます。

まとめ

以下、今回の記事のまとめです。

<決算内容>
・売上高が通期業績予想未達
・四半期売上高は過去最高額
・KPI:契約企業数/ユーザー数/ARRは増加、解約率も改善
・期待しているARR成長率には達していない

<成長余力について>
・楽観的に考えると、まだマーケティングの効果が出てきていないだけ
・2023年度の新サービスがうまくいけば、クロスセルで全体の売上高が増加
 →しかし、HENNGE OneのARR成長率:+20%中盤台になる予感がまだしない
 →契約企業数とARPUの増加/上昇幅の拡大に期待

あなたの投資の参考になりましたか?

2025年度に向けての成長目標が達成できるか、心配になってきましたね。上述してきたように、HENNGE OneのARR成長率はまだ+20%弱の水準です。これからどうやって、年平均+20%中盤台に乗せてくるのか注目です。

※ちなみに、この数値の時の目標株価については、下の記事で解説しています。これも底堅さの理由の一つになりますね。

決算発表が本格化してきており、サラリーマン投資家は時間がなく、なかなか全部は見きれません。当ブログも同じサラリーマン投資家なので、そう感じています。そんな時間がないサラリーマン投資家のために、注目銘柄の決算発表をまとめたページを作りました。いろんなサイトへ行かずとも、注目銘柄の決算分析が見れます。特に、当ブログと同じ投資法をしている人なら、「この銘柄、自分も注目してる」と共感できるはずです。

他の銘柄の最新決算分析は、下の記事でまとめています。ぜひ一度ご覧ください。

さいごに

今回は、前年比で利益倍増になったHENNGE(ヘンゲ)の決算発表を分析し、株価に与える影響を確認しました。

毎回決算を見ていても、なかなか堅実だと感じています。ただ、まだ成長目標の指標となる「ARR年平均成長率+20%中盤台」になっていません。ここの水準に乗ってこないと、まだ2025年度の成長目標も信じきれませんね。

いかがでしたか?参考になりましたか?
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他の銘柄の最新決算分析を読みたい場合は、下の記事でまとめています。

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